soft machine / third CD
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ソフトマシーンはイギリスのカンタベリーにある芸大にて結成されたバンドで、このソフトマシーンは十数年の活動のなかで、メンバーチェンジを続ける"移行集合体"であり、そのメンバーチェンジの際に行われた音楽家たちのぶつかり合いが作品の表情を作り続けてきたように思います。
作品ごとにまるで違った顔が浮かび上がるわけですが、それはどんどん理想郷に近づくが如く、sixや sevenあたりがマシーン的ジャズロックの完成かと思えるぐらいに、タイムレスな響きに達しているように感じます。
それは初期メンバーが不在となったとしても、同じ志の音楽家がより良い世界を模索して繋げ作り上げた結果であり、そんなソフトマシーンのぶつかり合いから人脈、山脈となり数多くの他バンドが発生することとなるわけなのですが、その人脈はのちに"カンタベリー派"と呼ばれるようになりました。
そんなカンタベリーのはじまり、ソフトマシーンの大きな節目にあたる作品がこのthirdや次のforthあたりではなかったかなと思ったり。
彼らはバロウズやケルアックといった60年代後期に流行したビートニックの詩人たちから影響を受けており、彼らが愛聴していた、彼らの視点にて捉えられた旧来あったジャズを再解釈する感覚を探り出し、紙とペンにて昇華した新感覚を音楽として表現したのがまさにソフトマシーンの真骨頂。
フリージャズやロック、現代音楽からミニマルミュージックまでもが同じ価値観にて扱われていた混在はソフトマシーンがいた時代のリアリズムだったように感じます。
本から受けた感覚を音楽に落とし込んだのがソフトマシーンであり、カンタベリー派なる大きな枠組みはヘンリーカウやスラップハッピー、アートベアーズといったレコメンへと地続きとなり、それは90年代や00年代まで受け継がれていくことになるわけで。その始まりのような動きがデビットアレンにケヴィンエアーズ、ロバートワイアットにラトリッジからなるソフトマシーンのように思います。
オーストラリア人のヒッピーであったデビットアレンは薬物問題にてイギリス国内に入れなくなったことを理由にフランスへ入国し、こちらも"移行集合体" の代表バンドGONGを結成するわけであり、アレンが作り出したこの二つのバンドは長きに渡り活動を行うこととなるわけですが、両バンド共に他者に愛され変形していくといった同じ道のりを歩んでいくというのもまた面白い。
こちらのthirdは前作でのワイアット、ラトリッジにヒューホッパー、エルトンディーン、ニックエヴァンスなどの管楽器奏者を加えた、8人編成で挑んだ作品で、彼らが新しいジャズロックを模索していたことは言うまでもなく、従来のロックでもジャズでもない、その中央にあった神秘への扉をゆっくり開く音が聞こえる名作。
プログレの組曲形式の上にて即興部分に現代音楽的な知性、ジャズの持つ会話、インタープレイを次の次元まで持っていった世界は必聴。
この緊張感は同時期に発表されたマイルスのビッチェズブリューと比較出来るぐらいに迫り来るものがあり、でもしかし、マイルスにはグルーヴ、流れが聴き取れ、マイルスが現れることが目に見える(なかなか出てきませんが)様に聴こえますが、ソフトマシーンは誰がどこから現れるのかもわからない、ビートニック的な精神があります。
だからこそ、今作収録の神の領域の上で聴こえる名作"Moon in june"で現れる、唯一はっきりしたワイアットの声が現る"瞬間"が大きな光となっているように思います。
ここから何かが始まっていることは明確。
彼らがバロウズの作品からバンド名をとったように違う側面にてそれを見つめることは重要だと思います。
CD盤面 M-:Mint Minus 美品
ジャケット EX:Excellent 経年劣化があるも全く問題のない状態・良品