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上田まり / room CD

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上田まりの98年に出た第一作目。
一年に1枚のペースにてリリースされることとなる、3部作の処女作。
テクノや打ち込み音楽の全盛の時代にアナログ色ある方向がカウンターとして成立した時代であって、オーガニックかつチルアウトなどと繋がる文脈は当時あったはずで、特にマシンポップスに力を入れていたエイベックスがこのような路線で勝負をかけていたといった事実は面白いわけです。
しかしながらよくよく考えてみれば、安室奈美恵のSWEET 19 BLUESも海外向けのR&Bやフュージョンへと傾いていますし、TRFのオーバナイトセンセーションなどもアースウィンドファイヤーやシックなどのディスコ調で、H Jungle with tに関してはジャングルやレゲエを取り入れながらも、なぜだかフォークやニューミュージックの香りがするなんとも不思議な楽曲なわけで(浜田の歌唱の影響は大きい)。
小室哲哉が率いたglobeあたりはymoイズムを現行のpopsやukテクノの地平に繋げようとしていた実験のように感じるので、globeの動きはマシンpopsなわけですが。
ゆずやコブクロなどのアコースティックギター片手に歌う、フォークアピールのようなわかりやすいアナログではなく、生楽器にて洗練を重ねた"シティーポップス"と後に名付けられる、都市型ポップス手法が用いられているところが、00年代式AORであり、なんともモリコーネが映画音楽にて実験を繰り返したようなセンスを感じます。

プロデューサーでもある、ドラマーの江口信夫の手腕だと見ています。

江口信夫は杏里作品群のバンドのメンバーでもあり、角松敏生などのバックバンドでも腕を奮っていたわけで、極めつけにはシティーポップスの雛形でもあるユーミン、松任谷正隆とのレコーディング仕事を行っているというところが筋金入りで、ユーミンや松任谷正隆などに繋がる70年代の動きもきっちり分かりながらの00年代での投下だったのではと今作を聴いていると思えるわけです。
一曲目"誰もいない部屋"からその手の音楽展開が健在であり、なんともそんな流れにワクワクするわけで。
歌唱は演歌まではいかなくとも、昭和歌謡を思わせる歌声は思惑通りであり、シティーポップス文脈にて語り継がれる、桐ヶ谷仁の世界も匂わせます。
具島直子を彷彿とさせる"せつなかった日"や古内東子と繋がる"十五夜には"など名曲尽くしなのですが、まだここではエイベックス色が少なく、なんともシティーポップス好きには、こちらの1stが隠れた名盤かと思われます。
奇をてらった音はまるで登場せず、淡々と上質なPOPSでまとめられているところが最高で、この塩梅はちょっとわかる人にしか伝わらない世界かも。
昨今のサウンド重視の音も良いのですが、これぐらいの塩加減で作られるお袋の味はまた格別かと。
マックス松浦がプロデュースに関わっていることもあって、期待は大きかったのか、その後、なんともこの路線にてエイベックスがミュータントしていくところがこれまた面白い比率を生み出すプロジェクトですが、こちらの地盤を聴いていないとその面白さは半減すると思ったり。

同時期に椎名林檎との作品で成功をおさめ、後に東京事変などでも活躍する編曲家、ベーシストでもある亀田誠治が参加しており、3部作の最後まで付き合うこととなるわけですが、化学変化が聴ける素がなんとも極上なシティーポップス歌謡というのもこれまた良いです。
しかもデッドストック未開封。推薦盤です。

※写真は私物を撮影しております。今作は未開封ですので、状態などは確認出来ていません。

CD盤面 D : Dead stock 未開封
ジャケット D : Dead stock 未開封

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